実践的な数十テラバイト級のストレージを構築するうえでのSASの魅力は、ホストに挿す高性能SAS RAIDカードの性能と機能の高さです。SAS RAIDカードからは写真のように2口のSASx4のポートが出ています。一口転送速度は1.2GB/secですから、二口では1.2GB/sec x2 = 2.4GB/secという大きな転送速度を持ちます。
SAS機器はSASエクスパンションという接続部品を介してSASデバイス間を連結しており、一口の1.2GB/secのSAS RAIDカードのポートに最大で45基のSASかSATAのドライブを接続できます。カード上の二口を使うと90基のドライブまでが接続できることになります。しかも、この90基のドライブはRAIDカードからはフラットに見えています。具体例としては、写真の30基のドライブを持つ2台の筐体は、物理的には二台に分かれていますが、内部のディスクは論理的には透過的にみえているということです。従って、筐体を飛び越えて30基のドライブ全てを単一ボリュームすることも可能です。あるいはRAIDのスペアディスクを一箇所に複数まとめてしまい、複数のRAIDボリュームがスペアディスクを共有する構成も可能です。この大き自由度を利用したインテグレーションが可能なのです。
速度を出すインテグレーションでは、筐体を論理的に二分割し、1.2GB/secのポート2つ取り出し独立にホストと接続することが可能です。こうすると1.2GB/sec + 1.2GB/sec =2.4GB/secという非常に大きな帯域で一台の筐体でもホストと接続することが可能です。
筐体に内蔵するプリント基板はSASドライブ用の基板とSATA用の基板が用意されています。これらを使い分けることで、高性能と高信頼性や高耐久性が求められる「オンライン」領域用のボリュームにはSASドライブで構成されたRAIDを用い、利用頻度が低下した「ニアライン」領域には価格性能比の高いSATAドライブを用いたRAIDに保管する手法があります。
この「オンライン」領域と「ニアライン」領域をネットワークで接続し、データを移動させる場合には、ネットワークの転送速度の遅さが問題となり、テラバイト級の大きなデータを取り扱うと長い時間を要します。ところが、1.2GB/secの口を2ポート持つSASシステムでは、片方の口に「オンライン」を担当するRAID、もう一方の口には「ニアライン」を担当するRAIDを接続し、双方のデータのやりとりを1.2GB/secのSAS接続を介して行うことで、比較的短時間でデータの移動を行うことが可能です。
このようにSASを用いたストレージシステムは構成の自由度が高く、目的に応じたシステムが手ごろな価格で構築できる優れたソリューションです。