お客様は大学の研究者の方で生物物理学の研究をされており、PCクラスタを用いてAMBER9などによるシミュレーションを利用されています。すでに研究室には多数のPCクラスタが導入され利用されていますが、さらに計算の高スループット化が必要となり、新たなシステム増強プランを構想されていました。
計算のスループットを優先するため、お客様が最初に考えられていた計画は、市販のCore 2 Duoを搭載のスリムタイプのPCを沢山導入し、マシン毎にAMBER9を2CPU並列実行させるCPUファームを研究室で独自構築されるというプランでした。
これまでPCクラスタが必要とされていたAMBER9計算を、高性能化したマルチコアぬCPUを搭載したスタンドアロン機でも高速処理できることに着眼され、スループットの最大化を追求された構成です。AMBER9専用の高スループット機として非常に優れコストパフォーマンスも高いシステムです。
お客様の構想は堅実かつコストパフォーマンスが最高なため、弊社がXeon 2way機でクラスタをご提案しても値打ちが無いと思っていました。しかし念のために、「同程度の予算で良い提案ができたのなら検討をお願いします」とお伝えし、Xeon 2way機ベースのクラスタシステムの設計と積算を行いました。提案の特徴を下記にまとめます。
上記のようなシステムをご提案したところ、「Quad-Core Xeon 3.0GHz 2CPU 8コア機を10台に、AMBER9システムインテグレーションを含めて納入し、3年間の当日オンサイト保守と部品保証や技術支援が付属しているならば良い提案です」と評価してくださいました。
システムは写真のようにワイヤーラックに8台をコンパクトに搭載しました。なお、2台は別室に設置しています。設置作業はオンサイトで行いました。
計算速度は8コアの採用により、高速なノード内の8並列計算が実現できます。ネットワーク並列を行わないため通信ロスが少なくスループットは最高です。コストパフォーマンスにも優れた構成です。10node 80コアを活かし、4並列20ジョブ処理から、8並列10ジョブ処理まで自在な組み合わせで実現できます。
ノード内並列性能の達成には、優れた開発環境の選択が大切です。そこでIntel CompilerとIntel MPIを採用し、並列性能の高いアプリケーション・ビルドを行いました。
各ノードには500GBのディスクが2台搭載されており、1台をマスターとして1台をバックアップとして運用し、定期バックアップが行われます。そのため専用のバックアップサーバは搭載しません。
アプリケーションはマスターノードに置き、各ノードにNFSマウントすることで共通の実行モジュールを利用するようにしています。
ユーザ管理はスクリプトを作成し、マスター機の更新内容を各マシンに反映するような構成になっています。
システムは短納期で納入し、オンサイトでのシステム構築とテスト運転を行い、すぐに安定稼動状態に入りました。
安定した高品質のハードウェアのご提供と、実績のあるシステムインテグレーションでの構築により、システムは継続した安定稼動を実現しています。この安定稼動も高スループットには大切なことです。
高スループットにはアフターケアの充実も大切です。このシステムには3年間のオンサイト保守が付き、安心して利用していただけます。
お客様のご要望は、
の3項目の同時実現です。今回のシステムでは、お客様との綿密な打ち合わせにより、このご要望を満たすことができました。また、当初にお客様が考えられていた多数のスリムPCを用いての2コアによる処理系よりも、Xeonワークステーションを用いた8コアの処理系がシステムとしての完成度も高いです。この点も、お客様にも喜んで使っていただけると思います。