Gaussian社が公表しているサポートプラットホーム上でGaussianを利用することにより、ユーザは共通のソフトウェア環境上で使用することとなり、新しい考え方や、計算の検証、利用方法、不具合情報など、多くの情報を公開し共有することができます。Gaussianはこのような環境によって育まれ発展してきた歴史を持ち、現在ではGaussianはサイエンスの基盤として安心して利用できるようになっています。Gaussainを使うということはGaussian利用者社会に参加し、その社会の一員として共有財産を利用することでもあります。
Gaussianはソースコードで提供されることで、幾つかのメリットがあります。
・移植性が高い。ソースコード提供されることで幅広いプラットフォームに容易に対応できます
・動作環境の変化への追従性が高い。ハードウェアや開発環境が変化しても再コンパイルだけで最適な利用環境を実現
・Gaussianのバージョンアップの展開が迅速。多様なプラットフォームに素早く的確にGaussianのバージョンアップを反映できる
・Gaussianの改良にも効果的。利用者がGaussianの問題を見つけた場合に問題の所在の特定が容易で報告も正確
このようにGaussianのソースコードによる提供は多くのメリットがありまが、自由度の大きさによるデメリットもあります。そこでメリットを最大化しデメリットを最小化するため、基本的な利用ルールをGaussian社が規定しています。
ソースコード版のGaussianを利用するための環境や手順はGaussian社が詳細に指定しています。全てのGaussian利用者はこの共通基盤の上で作業を行うことで正確な情報交換が保証されます。Gaussianを使用する場合にはこの指定に従う必要があります。Linux上で指定されている開発環境はPGIコンパイラ、OSはRedHatあるいはSuSEとなっています。
Gaussianにはバイナリ版も存在します。Gaussianのサイトライセンスをお持ちの場合には、同じ住所の同じ組織であれば誰でもGaussianをインストールし利用することができます。その場合は、本格的にGaussianの利用を目指されるのならソースコード版のGaussianをインストールされることを推奨しますが、ソースコードレベルでの調査は行わず普通に作用されるだけでしたら、コンパイラを必要としないバイナリー版のGaussianの導入も良い選択の1つです。(Linda並列に関してはお問い合わせお願いします。)
| OS | License Type | CPU | 32/64bit | Shared Memory Parallel | Linda Parallel |
| Linux | Gaussian 03 | Intel | 64bit | Y | Y |
Windowsマシン上で動作するGaussian03Wには32bitの制限があり、メモリサイズは2GB、スクラッチディスクサイズは16GBが上限となっており、これを超える大規模な計算は動作しません。また、シリアル計算版は並列処理による高速化が行えません。またマルチコア版も4並列までに制限されており、高速化に限界があります。(Linda並列に関してはお問い合わせお願いします。)
| OS | License Type | CPU | 32/64bit | Shared Memory Parallel | Linda Parallel |
| Windows | Gaussian 03W Serial (Single CPU) Version | Intel | 32bit | N | N |
| Gaussian 03W Parallel Version | Intel | 32bit | Y (4core) | N | |
| Gaussian 03W Network Parallel Version | Intel | 32bit | - | Y |
Mac版のGaussianは数種類存在しているので注意が必要です。(Linda並列に関してはお問い合わせお願いします。)
| OS | License Type | CPU | 32/64bit | Shared Memory Parallel | Linda Parallel |
| Mac | Gaussian 03M | PowerPC | 32bit | N | N |
| Gaussian 03M Network Parallel Version | PowerPC | 32bit | N | Y | |
| Gaussian 03IM | Intel | 32bit | N | N | |
| Gaussian 03 (source code) | IA32 | 32bit | Y | Y | |
| Gaussian 03 (source code) | EM64T | 64bit | Y | Y |
Gaussianの処理速度の向上は大きな課題です。この解決はハードウェアや開発環境の改善が受け持つ課題です。幸いなことに計算機の性能向上競争は激しく、その成果は確実に利用者の手元に届いています。それは、CPUのマルチコア化、システムの64bit化、メモリの低価格と大容量化、HDDの大容量化と高速化などにより確実に進んでいます。そのためGaussianの高速化は動作環境の改善で行うことが基本です。
Gaussianの高速化では高スループット環境の利用が効果的です。Gaussianのように長期間連続動作する計算では、安定稼動しないシステムは計算効率を著しく低下さ、安定稼動すると能率が大きく向上します。高スループットを実現する際のチェックポイントは、正しく納入され、導入直後から本格運用でき、故障が少なく、故障しても迅速なオンサイト修理ですぐに復旧し、問い合わせには迅速かつ的確な回答が得られることなどが挙げられます。
Gaussianの高速化では「良い開発環境」の搭載も重要です。計算機に正しく開発環境がインストールされていればGaussianのビルドは容易に行え、正しい計算を実行でき、正しい計算結果が得られます。さらに適切な計算速度と計算規模が得られます。この状態で計算を行うことが重要です。ここで大切なのは「良い開発環境」の構築ですが、これは難しい作業です。そこで弊社では「良い開発環境」の搭載に力をいれています。なお、「良い開発環境」が搭載されているシステムではGaussianのビルドも容易なため、Gaussianのアップグレードへの追従も迅速に行えます。
Gaussianを32bitで利用する場合には、計算規模の制約と、計算速度の制約が、相乗的に加わることには注意が必要です。Gaussianを高速化するためには、計算の並列度を大きくするのですが、並列度を高くすると要求メモリサイズも大きくなります。しかし、32bitではメモリサイズが限られているため、CPUコア数が多くても、メモリの量に応じて並列度が自動的に下げられることがあります。メモリ価格が低下し、マルチコア計算機が潤沢に提供されている現在において、32bit環境でGaussianを利用することはお勧めできません。